6月3日(日)秋川キララホールで明星大学の第34回定期演奏会が行われ、あきる野混声合唱団と初共演を果たしました。　明星フィルハーモニー管弦楽団（山田桂三指揮）は1992年に明星大学の日野、青梅キャンパスの学生らによって発足し、今年で20年を迎えます。あきる野混声合唱団（村野秋雄団長）は、2005年にあきる野市を拠点に地域の音楽文化に普及発展に努めているNPO法人「市民プロジェクト21」（溝口正恵理事長）の呼びかけで結成。古典宗教曲の合唱を中心に、これまでシューベルト、モーツァルト、ヘンデル等の宗教曲を同市や都内などで演奏会を行っている本格派の合唱団として知られています。
　共演は、同NPO法人と同大学の間で前から企画されていたもので、同大が生涯教育の一環として共演を快諾。西多摩初の大学オケと市民合唱団のコラボレーションとなった当日は、モーツァルトの「レクイエム」を披露。東日本大震災から一年余ということもあり、被災地の一日も早い復興の祈りが込められました。
　同法人の溝口理事長は「こういう形での共演が、今後も広がっていくことを願っています」と笑顔で話していました。

　｢あの子はちゃんと歌えるかしら｣｡地元の若手音楽家を応援しようと､1月にあきる野市で開いた演奏会｢若き音楽家フェスタ｣｡ソプラノ独唱を披露する音大生が､年末から体調を崩していた。客席から祈るように見つめると､若々しい透き通った声がホールに響いた｡｢彼女はきっと素晴らしい歌手になる｣｡ほっと胸をなで下ろした｡

　未来の音楽家を育て､あきる野市を文化の薫り高い都市にしようと､市民団体を設立して今年で10年｡設立2年後にNPO法人となり､演奏会のほか､弦楽合奏団や合唱団の運営､市民参加型の苦楽イベントの開催などど､幅広く活動している｡

　きっかけは､30年ほど前､知人に誘われて始めたママさんコーラスだった｡初期メンバーはたった6人｡仲間と団員集めに奔走し､3年で10倍に増やした｡仲間が加わるたびにハーモニーが厚みを増していくのがうれしかった｡その後､子どもが通う中学校のPTAコーラスの運営も引き受けた｡

　約15年前､夫･勲夫さんの仕事の関係で英国大使館に招かれた｡約100人の招待客の目の前でオペラが披露され､休憩中はワイングラス片手に音楽談議｡優雅なひとときを過ごした｡｢地元でもこんな演奏会を作りたい｣｡近所の主婦たち4人と企画し､昭島市にあるホテルのチャペルで演奏会を開いた｡

　出演者には､あきる野市の若手苦楽家を主に選んだ｡以前､近所の銀行で窓口の女性行員が｢実は私､音大卒なんです｣と言った一言が印象に残っていた｡｢毎年多くの音大生が卒業するのに､プロになれるのはほんの一握り｡誰かがチャンスを作ってあげないと｣｡この思いは年々強くなり､本格的に音楽普及活動をしようと今の団体を設立した｡

　｢若き苦楽家フェスタ｣は2004年から毎年開催｡出演者探しから始まり､クリスマスや正月も返上でチケット販売のために市内外を駆け回る｡｢舞台に立った演奏家の気持ちを最も高めるのは､満員の客席｡その後の音楽人生でくじけそうになったときも､満員の拍手を思い出して頑張ってほしい｣と労をいとわない｡

　出演者は延べ50人ほど｡｢プロのオーケストラ団員になった｣｢コンクールで優勝した｣など､今でも電話や手紙で近況が寄せられる｡｢この子たちが世界で活躍することが私の願い｣｡わが子を見るような優しいまなざしで､歴代の出演者の写真を見つめていた｡